卵巣がんの危険因子には、排卵回数や遺伝、動物性脂肪、子宮内膜症などがあります。これら卵巣がんの危険因子を把握しよう
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卵巣がん症状

卵巣がん危険因子

出産数の増加に伴い卵巣がんのリスクが低下

卵巣がんにはいくつかの危険因子のひとつが【排卵の回数】です

卵巣がんは妊娠・出産と深い関係にあると言われています。出産の回数が多くなるほど卵巣がんになりにくく、出産を経験しない人や不妊の女性は、卵巣がんにかかる率が高いと言われています。卵巣がんの中で最も多い表層上皮性・間質性腫瘍は、排卵のたびに卵巣上皮が破壊され、それを修復するために細胞を増殖させるホルモンが分泌され、細胞が増え過ぎた状態が卵巣がんです。

出産回数が多くなると卵巣がんのリスクが低くなる理由

卵巣がんで最も多い表層上皮性・間質性腫瘍は、排卵の際に卵巣上皮が壊れることとその修復が関係しています。
妊娠・出産は排卵回数を少なくしますので、卵巣がん発生の機会が少なくなります。同様に、低用量ピルを継続的に使用し、無排卵状態に保っている人も同様に卵巣がんのリスクが低くなります。授乳と卵巣がんも関係があり、授乳の経験がある女性はリスクが低くなります。

ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)

卵巣がんは、閉経後に多くなることから、【ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)】と【ゴナドトロピン放出ホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)】の影響も考えられています

女性と妊娠女性ホルモンの分泌と排卵・子宮内膜の変化は、視床下部、下垂体、卵巣、子宮という、脳と女性性器との連携によりコントロールされています。女性ホルモンのコントロールタワーは視床下部にあり、視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが分泌されると、その刺激で下垂体からゴナドトロピンが分泌されます。ゴナドトロピンには卵胞刺激ホルモン(FSH)と、黄体化ホルモン(LH)があり、卵胞刺激ホルモンは卵巣内の卵細胞を成熟させ、黄体化ホルモンは成熟した卵細胞から卵子の排出(排卵)を促します。卵細胞は成熟していく間にエストロゲンを分泌し、このエストロゲンが子宮内膜を増殖させます。また、卵細胞は排卵後にはプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌しますが、プロゲステロンの作用で子宮内膜はさらに厚みを増して、ふかふかした状態になり、卵子の受精・着床に備えます。しかし、妊娠が成立しないと、子宮内膜が脱落して月経となります。このときエストロゲンとプロゲステロンの血中の量は少なくなり、その情報が視床下部と下垂体を刺激して、再び視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが分泌されるといったリズムが繰り返されています。ところが、更年期に入り、卵巣の働きが落ちてきてエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が少なくなると、視床下部はこれらのホルモンをたくさん分泌させようとしてゴナドトロピン放出ホルモンを増やします。その刺激を受けてゴナドトロピンの分泌も増加します。したがって、更年期はゴナドトロピンとゴナドトロピン放出ホルモンの血中の量が多くなります。それが卵巣がんの発生と発育に関係しているのではないかと考えられています。

卵巣がんのリスクを高める、子宮内膜症

卵巣がんの中の【類内膜腺がん】と【明細胞腺がん】は、【子宮内膜症】を合併していることが多く、一部の子宮内膜症は前がん状態となりうる可能性が指摘されています。また、子宮内膜症は不妊やホルモンの機能異常と関係がありますが、これらが卵巣がんの発生に影響を与えているともいわれています。以上のように、子宮内膜症は卵巣がんのリスクを高めるといわれています。

動物性脂肪と卵巣がん

日本人に卵巣がんが増えてきた原因のひとつに、動物性脂肪の摂取量の増加があげられます

動物性脂肪動物性脂肪を沢山摂取すると卵巣がんのリスクが高くなり、野菜を十分に摂取すると卵巣がんのリスクが低くなるといわれています。
動物性食品を控えるだけでなく、発がん性物資にも注意が必要です。食品はできるだけ新鮮なうちに食べるようにするといいでしょう。

卵巣がんと遺伝

卵巣がんには母と娘、姉妹など、家族内で2人以上の女性がかかる【家族性卵巣がん】が珍しくありません。家族性卵巣がんには、環境因子のために家族内に複数の患者がいる場合と、生まれながらもっている遺伝子異常ががんの発生に関係しているものがあり、遺伝子も発見されています。また、家族性卵巣がんには、家族内に卵巣がん患者だけがいる場合、卵巣がんと乳がんの患者がいる場合、家族性非ポリポーシス大腸がん(ポリポーシスとはポリープが多発したもの)、子宮体がん、卵巣がん、喉頭がん、勝胱がんなどを併発する場合があります。欧米では全卵巣がんのうち5~10%が家族性卵巣がんであるとされていますが、日本での頻度ははっきりしていません。

BRCA1とBRCA2

卵巣がんに関係している遺伝子には【BRCA1】と【BRCA2】があります

家族に乳がん、卵巣がんの方がいる女性は、乳がんと卵巣がんの発症危険率が3~5倍高いとされています。
家族内に乳がん、卵巣がんの方がいる女性に乳がんと卵巣がんの発症危険率が高い訳には、遺伝子の【BRCA1】と【BRCA2】が関わっています。とくに、関係が濃厚とされているのが【BRCA1】の遺伝子です。

BRCA1とは

BRCA1は、DNAが傷ついたときの修復に関与し、がんの発生や進展を抑える作用をもつ、がん抑制遺伝子であると考えられています。
BRCA1遺伝子に異常のある女性は、乳がんを50才でに発症する可能性が49%、70才までに発症する可能性が71%であり、卵巣がんでは16%と42%、どちらかのがんの発症の可能性は52%と82%との報告もあります。

がん予防と遺伝子検査

欧米では、BRCA1とBRCA2の遺伝子異常のある女性に対し、がん予防のための乳房・卵巣の摘出手術も行われています。しかし、遺伝子診断の調査対象基準、擬陽性や擬陰性をどうするか、遺伝子異常が発見された人への精神的ケアなど、議論の余地がまだまだある段階といえます。
母親や姉妹が卵巣がんや乳がんと診断された人は、卵巣がんや乳がんの検診を受けるのがいいでしょう。

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